スイスを代表する鉄道

スイスの鉄道といえば氷河急行が有名。氷河特急とも呼ばれますが、ヴァレーアルプスの山々(マッターホルン、ドムなど)が集中するスイス南部を東西に貫く山岳路線を、対向列車待ちの停車を交えつつ時速20~80km/hのゆっくりしたスピードで走る、いわば鈍行パノラマ列車です。5時間を超える列車の旅パノラマカーが確約されていて、次々と現れる可愛らしい村と雄大な山に乗客は誰もが釘付け。今回、夏ダイヤ改正直前の2013年5月初旬に乗る機会があったので取材してきました!

氷河急行、ディサンティス付近の車窓から

氷河急行、ディサンティス付近の車窓から

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クール Chur

今回の旅の出発点はクール。チューリッヒ中央駅(Zurich Hbf)から最短1時間15分の好アクセスの街で、主にチューリッヒから乗り入れるスイス国鉄と、サンモリッツを中心とするエンガディン地方から来る世界遺産のレーティッシュ鉄道との接点。つまりレーティッシュ鉄道に特別拘りがなければ、クールを氷河急行の乗車/降車駅にすることで、氷河急行をチューリッヒ~ツェルマット間の移動ハイライトとして組み込めます。氷河急行は朝サンモリッツを出発し、11時15分(夏は11時27分・12時27分)にクールへ入線しますので、その時間に合わせてチューリッヒを出発するのがコツ。

朝9時半、中央駅8番線からインターシティーに乗車。終点のクールに着いて外に出ると空気が冷んやりとしていて、都会とは違います。駅のホームには全車両が赤色で統一されたレーティッシュ鉄道の普通列車が停車中。山岳地帯を走るにも関わらず、ループ線で標高を上げるために歯車はついていない様子でした。

レーティッシュ鉄道区間の牽引機

レーティッシュ鉄道区間の牽引機

やがて向かい側ホームに氷河急行が入線。レーティッシュ鉄道区間はブルーの機関車が牽引しますが、クールで切り離してスイッチバックし、最後尾に赤い機関車「Matterhorn Gotthard Bahn」を連結してそちらが先頭になります。6両ある客車は全て、側面と天窓に大型ガラスが嵌められたパノラマ車。内訳は1等車が2両、2等車が3両、パノラマバー(ビュッフェ車)が1両でした。1等車は向かい席のペアが左右1:2で配置され、2等車は左右4人がけのボックス席。よく誤解されますが、通常お食事をご希望の場合はパノラマバーへ行かず、座席にて乗務員に直接オーダーします。2013年のメニューは、

・パンケーキスライスのブイヨンスープ
・クア風薄切り子牛肉のクリーム煮 キノコ添え
・麦米と角切り野菜
・ミックスベジタブル
・チョコレートケーキ または チーズ各種

でした(予告なく変更される場合がございます)。お値段はちょっと高めですが、味は良くておかわり可能。食後のテーブルは乗務員が綺麗に片付けてくれます。

クールを出るとまず巡回に来る車掌にチケットを見せ、一息つくと食事・飲み物の有無を乗務員が聞きにやってきます。乗務員はさすがスイス、メキシコからドイツまで様々な出身国の方が働いておりました。食事は事前のご予約を弊社にて承りますが、予約なしでもその場(座席)でメニューを指してオーダー可能です。コミュニケーションは英語が通じます。ちなみにパノラマバーは4名グループ2組で一杯になってしまう程度。オーダーして座席でそのまま召し上がるケースが殆どです。

5月はタンポポの絨毯白い断崖左:5月上旬、スイスの谷間は一面タンポポ 右:白い岩肌がむき出しの渓谷沿いを走る

クールからディサンティスまでは、白い岩肌がむき出しになった断崖が次々と現れる渓谷の底を走ります。車両には天窓がついているため、進行方向の右側に聳える見上げる高さの崖すら、左側席から立たずとも大迫力で見れました。唯一心残りなのは、あまりに窓ガラスが大きいために光が反射してしまい、グレアで写真がボケてしまったこと。窓が開かない密閉構造とはいえ、本記事の写真程度でしたら、望遠レンズでグレアの写る範囲を抑える工夫ひとつで撮れます。

オーバーアルプ峠へディセンティス駅左:車窓から眺める可愛らしい村 右:ディサンティス駅にて

ディサンティス駅は停車時間が長く、降りて記念写真を撮る方が多かったです。夏シーズン、サンモリッツからツェルマットへ向かう905号/907号はディサンティスで切り離し、それぞれ別列車となります。逆にツェルマットから来る906号/908号はディサンティスで連結し、終点サンモリッツまで12両編成となります。

オーバーアルプ峠 Overalppass

オーバーアルプ峠

オーバーアルプ峠の駅名標と氷河急行

ディサンティスを出た氷河急行はスピードを落とし、歯車が起動してレールと噛み合わせながら勾配を登っていきます。可愛らしい村々はあっという間に眼下へ遠のいて行きました。尾根の南斜面をジグザグに斜上して行く感じは登山鉄道に近く、左右の窓からは高度感たっぷりの広い谷と雄大な山々が交代に見渡せます。ワインや食後のコーヒーを飲みつつ、氷河急行ならではの贅沢なひとときを楽しみましょう。

オーバーアルプ峠とは、アンデルマットに近い豪雪地帯にある標高2044mの峠。駅があり、逆方向の氷河急行とすれ違うために一時停車します。ローヌ氷河を望むフルカ峠区間がトンネルに置き換わってしまった今日、オーバーアルプ峠越えは唯一、森林限界を超えたアルペン的な山岳景観を楽しめる区間。標高2000mでは1ヶ月以上季節が遅れるため、5月上旬はまだ雪景色で山スキーが出来そうな感じでしたが、一部雪の消えたばかりの斜面に湿性のクロッカスとタンポポが咲き乱れていました。6~7月に入れば白いアコニティフォリウスや黄色いキジムシロが車窓を彩ることでしょう。

ドイツ語の駅名標など読めないし、峠に着いたか分からないという方もご心配なく。氷河急行には座席1つ1つにイヤホンとジャックが付属していて、車窓の風景や人々の文化について説明の音声が流れるルート案内サービスがあります。チャンネルは全部で6つあり、以下の通りです。

CH1 : ルート案内(ドイツ語)
CH2 : ルート案内(英語)
CH3 : ルート案内(フランス語)
CH4 : ルート案内(イタリア語)
CH5 : ルート案内(中国語)
CH6 : ルート案内(日本語)
CH7 : 音楽BGM
CH8 : 音楽BGM

操作パネルにイヤホンを差し込んでCHキーで6チャンネルを選択。+-キーで音量調節。列車走行中にベルが鳴ると車内電光掲示板のヘッドホンマークが点灯して、イヤホンに日本語音声が流れます。イヤホンは持って帰っても大丈夫とのこと。さらにお土産を車内で購入したい方は、座席にて配られるパンフレットを参照の上、車内販売にてお買い求めできます。

さて、オーバーアルプ峠を越えたツェルマット行き氷河急行は、ウーリ州のアンデルマットを目指し下っていきます。半径の小さいカーブを何度も繰り返すため、編成後方の2等車に座っていると先頭の機関車を望遠で狙えるシャッターチャンスが多かったです。アンデルマットの街は氷河急行の車窓から見下ろすとコンパクトで人通りの少ない印象でしたが、スキー場が周辺エリアを覆いつくしていて、冬の人気が高いリゾートだそう。

アンデルマットからはさらにもう1つ山を横断して、ようやくツェルマットの属するヴァレー州の谷に入ります。この山越えはフルカ峠と呼ばれる難所でしたが、現在ではフルカベーストンネルが開通して時間が大幅に短縮されています。ちなみに「氷河急行」の名はフルカ峠にて車窓から見えたローヌ氷河に由来しているのですが、氷河急行を含めた全ての電車(観光用の蒸気機関車を除く)がトンネル経由となった今、ローヌ氷河を眺めることは出来ません。ただ「氷河急行から氷河は眺められない」という俗説は誤りで、ツェルマットに近いランダ(Randa)駅付近からビス氷河とよばれる氷河の末端が至近距離で眺められます。

長いフルカベーストンネルを抜けるとオーバーワルト、フィーシュの2駅に停車(通過する便もあるため注意)してブリークへ。しばらくは美しい山間の渓谷に絡みながら高度を下げますが、次第に広々とした盆地のような地形へと変化してゆきます。途中で滑走路を左手に見ましたが、旅客機の利用する空港ではなく主にグライダー用の飛行場らしいです。ブリークからはイタリア・ミラノとベルンを結ぶ高速幹線が合流し、フィスプまで複線となります。

フィスプからは幹線を外れて再び山岳路線に入り、橋の景観が見事なスタルデン・サース駅付近から再び歯車走行。やがて絶壁に挟まれた農耕地の真ん中を走るようになり、見上げると残雪を抱いた峰が連なります。車窓の右手に巨大な崩壊地が現れる場所がランダ(Randa)1991年春に山体もろとも大崩壊し、現在に至るまで瓦礫の撤去は全く追いついていません。大崩壊地の上に見える氷の塊がビス氷河末端で、そのさらに上に聳える山はヴァイスホルン 4505m の一部を成しています。

自家用車の乗り入れが可能な最後の駅、テーシュを過ぎるとまもなく終点ツェルマット。サンモリッツ方面から来る氷河急行は17:00-18:30の間に到着し、始発の氷河急行は08:50-10:00の間に出発します。駅を出ると大きなロータリーがあり、各ホテルの送迎EV(ツェルマットは電気自動車以外乗り入れ禁止)がお客様を出迎えてくれます。

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Grindelwald / グリンデルワルト

アイガーウォーク

放牧地
草原
鉄道
標高 2300m

Zermatt / ツェルマット

マッターホルン ヘルンリ小屋

高山帯
岩場あり
標高 3000m

ローテンボーデン~リッフェルベルク

高山帯
草原
鉄道
標高 2800m